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第6学年「土地のつくりの変化」の導入場面【理科専科.com】

1.地層を見に行くことができない学校も多いはず…

 私が勤める学校は都市部にあり、地層と出合う機会はありません。実際のところ、地層どころかほとんどの地面がアスファルトで覆われ、土との出合いすら少ないのが現状です。地層の見学に行き、大きなスケールで地層を感じることは叶いません。そのため、都市部の学校では、写真からの導入になることが多い単元のように思います。

 ただ、これでは非常にもったいないように思うのです。小学校理科の教科目標でも「自然に親しみ」という言葉がまず初めに付きます。学習指導要領解説では「自然に親しみ」を『理科の学習は,児童が自然に親しむことから始まる。ここで,「自然に親しむ」とは,単に自然に触れたり,慣れ親しんだりするということだけではない。児童が関心や意欲をもって対象と関わることにより,自ら問題を見いだし,それを追究していく活動を行うとともに,見いだした問題を追究し,解決していく中で,新たな問題を見いだし,繰り返し自然の事物・現象に関わっていくことを含意している。』(下線は筆者が加筆)と説明しています。

 では、どうすれば身近なようで遠い地層に触れながら、繰り返し関わっていくことができるのでしょうか。ここでよく行われる実践の一つが運動場を掘ってみるというものです。この実践にもうひと工夫をすることで、「とりあえず掘ってみる」という実践を、自然に親しみ自ら問題を見いだし、次の学習に繋げていくことができるのではないか、というのが今回の提案になります。

2.運動場のどこを掘るのかがポイント

 まず、運動場の下には何があり、どうなっているのかをみんなで予想していきます。今回は個人からグループで考えたものをホワイトボードに書いて共有しました。ICTで活用することもできる場面だと思います。

 私の学校では、地下鉄が側を走っているため、地下鉄を描く子どもや土、泥、砂、小石など様々な日常で使われる言葉が出てきます。ここでは、粒子の大きさに着目させていきたかったので、その言葉を拾いながら、泥、砂、礫、土の違いについて整理していきました。

 そして、いよいよ運動場に出て、運動場を掘っていきます。ここがこの実践の最も重要なポイントです。当然、運動場の土は盛り土のため、人工的な堆積になります。しかし、場所によっては流れる水の働きでうっすらと層が出来上がっているところがあります。それが、4年生の学習で見つけた水たまりになりやすい場所です。運動場の隅の方には、泥が溜まり水たまりになりやすい場所があると思います。そこを掘っていくのです。すると、人工的な盛り土の上に、自然の働きによってできた層の観察ができます。

子どもたちが掘った地面の様子
最上部に薄い泥の層

  層ごとにサンプルを持ち帰り、今度は教室で粒の観察をしていきます。まずは、手で触りながら粒の感触を確かめたり、虫眼鏡で粒の色や形、大きさを見たりします。そして、最後は解剖顕微鏡を使いながら、粒の大きさの違いを確認していきます。すると、盛り土は角張っていて、礫・砂・泥が混ざった土であることがわかります。それぞれの層のサンプルを比較すると、一番上の層だけは泥だけで形成されているということがわかります。

子どもたちが集めたサンプル
解剖顕微鏡で見た盛り土
解剖顕微鏡で見た泥の層

 ここで、子どもたちからは、どうして一番上の層は泥なのだろうか。いいことがあるのかな?けど、運動場って水はけが良い方がいいのにどうして泥の層を作っているのだろう。と、子ども達の思考が進んだので、「一番上の泥の層は、人工的なものではなくて自然の力によってできているのだよ。」と伝えました。そこからは、泥の層はどのようにできたのかをみんなで予想していきました。

 このように、地表に水たまりがある場所では、流れる水の働きにより泥の層が見られることが多くあります。泥の層がある場所を掘るだけで、泥の観察や礫、砂、泥が混ざった土の観察を触りながらすることができ、それぞれの層の粒を比べることで、次の問題へとつながり、地層がどのようにできたのかの学習に繋げていくことができます。

3.単元デザイン

 今回ご紹介した単元の流れは教科書とは少し違うかもしれませんが、比較的どこの小学校でも実践がしやすいのではないでしょうか。参考程度ですが私の単元デザインを載せておきます。

時間内容
・運動場の下の予想と粒子への着目
・実際に掘ってみて、サンプルを採取する
・サンプルの観察と記録
・運動場の下の様子の整理
・一番上の泥の層がどのようにできたのかの予想
5・6・地層のでき方の実験
7・8・ボーリング試料から学校の下の地層を確認する
・火山灰の粒の観察
10・11・化石、堆積岩の観察
12・13・14・火山や地震と土地の変化(防災は総合で行った)

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