1. HOME
  2. ブログ
  3. 小学校6年
  4. 理科を「自分ごと」にする!授業改善のための「つなげる学習」の提案 ~土地のつくり~【理科専科.com】

理科を「自分ごと」にする!授業改善のための「つなげる学習」の提案 ~土地のつくり~【理科専科.com】

1 なぜ「つなげる学習」が必要なのか

 授業で獲得した知識・技能を、実際の自然や日常生活に当てはめて考えられるようになることは、極めて大切です。日常生活に見られることが、授業で学んだこととつながっていると実感することで、理科の有用性が高まり、理科がさらに身近なこととして捉えられるようになると考えられます。

 しかしながら、令和7年度全国学力・学習状況調査の質問調査において、「理科の学習は将来役に立つ」という項目について、3教科の中で最下位でした。これは、理科という教科が生活において有用であるという認識が、まだまだ低いことを示唆しています。一方で、教員の努力は確実に表れており、過去の調査を重ねるごとに理科に対する肯定的な回答は高まってきています。この流れをさらに強化し、理科をより身近なものとするために、学んだことと生活の中で見られることを「つなげる」学習を継続していく必要があります。

2 「つなげる学習」の定義と目的

 本提案における「つなげる」とは、「学んだことと実際に身近にあるものとを関係付けること」として捉えています。また、対話的に学ぶことを通して、人やものと関係が生まれることでもあり、「学びの連続性」が大切です。この学習を通して、児童が獲得した「知識・技能」を身近なものに適用して「思考・判断・表現」できるようになることを目指します。

3 「つなげる学習」の実践事例(「土地のつくりと変化」)

 理科の見方の一つである「時間的・空間的」な見方を育てるために、様々な日常生活とのつながりを学ばせる実践が有効です。

○ 日常のものをアナロジーとして活用する

 ☆「ハムチーズサンドを活用する」

 授業の合間に、「ハムチーズサンドを作り、食べ進む動画」など、様々な画像(動画を含む)を意図的に見せておきます。改めて動画を見せた際に、下から積み重ねてできることや、同じ具材が奥まで層が続いていくことに気付かせます。これを地層の構造に当てはまるのではないか、と関係付けることができました。

○ 身近な資源や経験を科学的に見直す

 ☆学校のボーリング資料で調べる   学校敷地内に残っている地質調査のボーリング資料を実際に見せます(ない場合は、近くの新しい公共施設を作ったときのボーリング資料が残っていれば、借りてきましょう)。深さごとに地質を分けてスプレッドシートに記入するなどして調査させます。自分たちが実際に生活している場所の地下がどうなっているのか、「身近なものとして理解」することができました。

☆以前見た標本を科学的に再観察する

 過去の遠足などで見てきた地域の地層のはぎ取り標本(例:塩原湖成層)を観察させます。この標本は、小学生の身長ほどの大きさで観察しやすく、手触りを確認できるだけでなく、断層・褶曲も見られるという利点があります。バックヤードにある、真ん中がくりぬかれた層のパノラマ写真もセットで見た。それにより、左右両側の地層は、かつてつながっていたことも確認できた。学習によって獲得した知識を活用し、以前見てきたものを改めて科学的に見直すことを通して、身近なものとして意識できるようになりました。

○ ICTを活用する

 ☆Google Earthの活用

    単元の導入時にGoogle Earthのショートカットを配付し、ストリートビューで伊豆大島の地層を見せます。なぜ縞模様ができたのか考えさせ、児童は自ら大島が噴火したことがあるかを調べ始め、地層と噴火の関係を推測しました。学習が進んでから再度見ることで、自分たちの推理が正しかったか確認できます。また、阿蘇山のカルデラを見る際にも活用し、児童が自ら見やすい場所を探すことで「主体的な観察」につながりました。

☆YouTubeによる噴火映像

    学習時にハワイ島で噴火が激しくなり溶岩が流れていた際、実際の噴火の様子を鮮明な動画で見せました。これにより、児童はとても興味をもち、次の学習につなげることができました。火山灰がほとんど出ていないのではないか、という疑問から、教員が火山の噴火の仕方が違うことを補足説明し、桜島の噴火活動などと比べさせることで、より深い学びにつながります。

4 まとめ

 これらの実践の結果、児童は進んで知識を獲得したり、思考・判断したりすることができたと考えられます。これは、学習内容を身近なこととして捉えることができたからこそ、理科の学習に対する「有用感が高まった」ためと思われます。Googleフォームでの振り返りでは、「さらに学びたい」という意欲的な記述が多く見られました。

 ぜひ、ご自身の単元の中で、身近なものや出来事と授業内容を「つなげる」工夫を取り入れ、理科の有用性を実感できる授業を目指してください。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

\ 授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈 /
授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈
投稿方法はコチラ