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第3学年「電気→磁石→物と重さ」 3単元の教材統一で気付きの質を高めてみませんか【理科専科.com】

1.3つの単元構成と2種類の缶

 第3学年では、「電気の通り道」「磁石の性質」「物と重さ」の学習があります。単元の順番は、教科書によって異なります。今回は、単元の順番を「電気→磁石→物と重さ」で構成します。準備するものは、「見た目と内容量が同じ2種類の缶」です。

 2種類の缶は、内容量がどちらも同じ色、形、体積(内容量186g)です。2種類の缶は、重さが異なります。左側は、スチール缶(鉄素材)で219g、右側は、アルミ缶(アルミニウム素材)で196gです。

 ラベルは全く違いますが、多くの児童は、2つの違いをあまり意識しません。3つの単元の中で、この2種類の缶を使用することで、児童の気付きの質を高めることができます。 単元の流れは、下記の通りです。黄色く示した学習で使用します。

2.2種類の缶との出会い -電気の通り道―

 「電気の通り道」では、回路に物をつないで、電気を通す物と通さない物があることを学習します。身の回りの物と一緒に、2種類の缶を提示します。どちらも「缶」として示し、区別しないようにしました。

 児童は、活動の中で、光沢のあるもの(金属)が電気を通すことに気付きます。2種類の缶も金属のように見えるが、豆電球に明かりが付かないことを疑問に思います。そこでコーティングが付いていることに気付かせ、缶の表面を削る活動を入れました。すると、どちらも豆電球に明かりが付いて、金属であり、金属は電気を通すという結論を導くことができました。

3.2種類の缶との再会 -磁石の性質―

「磁石の性質」では、磁石に付くものと付かない物があることを学習します。「電気の通り道」で使った物をそのまま使用します。この時に、2種類の缶も区別なく提示します。

 磁石を近付ける活動を行う中で、片方の缶は磁石に付くけど、もう片方の缶は磁石に付かないことに気付きます。中には、電気の学習を生かして、やすりで表面を削って確かめる子もいました。でもやっぱり磁石に付きません。

 考察する場面で、缶のラベルをよく見ると、片方は「スチール缶」、もう片方は「アルミ缶」と書かれていることに気付きます。ここで初めて、児童はスチール缶(鉄素材)とアルミ缶(アルミニウム素材)の違いを認識し、鉄だけが磁石に付くことという結論を導くことができました。

4.既習の内容で得た知識の活用 -物と重さ―

 「物と重さ」では、同じ体積でも、素材によって重さが違うことがあることを学習します。

 事象提示では、コーヒーの入った2種類の缶を見せ、見た目だけで、どちらが重いか考えさせます。見慣れた2種類の缶は、大きさも形も同じなので、「体積が等しいものは、重さも等しい。」と思う児童が多いです。2種類の缶には、どちらも「内容量186g」と書かれているため、児童の自信を確固たるものにします。

 その後、手に持たせて比較させます。そうすると、意見が分かれます。「2種類の缶は、素材が違うから、重さが違うのではないか。」と言う児童がいました。これまでの2単元を通して得た既習の内容が知識として活用されたと考えます。

 実験では、それぞれの重さを計ると、重さが違うことが分かり、結論を導くことができました。

5.系統性を意識した年間指導を

 今回の提案では、3つの単元を通して、2種類の缶という同じ教材を使った授業を行いました。児童は、同じ教材に触れますが、単元が違うと、これまで得た既習の内容を知識として活用します。同じ缶を見ていても、働かせている見方が異なるのです。

 この気付きが根拠のある予想や仮説を発想することにつながっていきます。

 単元の系統性を意識して、年間を通した指導をすることで、児童の資質能力を向上させることができると考えます。ぜひ教材提示の工夫一つで、児童の資質能力を高めていきましょう。

 最後に余談ですが、この授業が終わると、コーヒー缶を開け、美味しくいただきながら、児童の振り返りを読んでいます。

  • コメント ( 1 )

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  1. 牧 逸馬

    コーヒー缶(アルミ缶・スチール缶)を使った実践おもしろいですね。
    3単元の教材を統一してコーヒー缶を使った方法は参考になりました。
    最近は、アルミ缶が主流でスチール缶のコーヒーを探すのが難しくなってきました。
    ちなみに私もコーヒーはブラックが好きです。

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