1. HOME
  2. ブログ
  3. 小学校6年
  4. ICTを使って共通性・多様性の見方を働かせる ~第6学年「植物のつくりとはたらき」の実践から~【理科専科.com】

ICTを使って共通性・多様性の見方を働かせる ~第6学年「植物のつくりとはたらき」の実践から~【理科専科.com】

 学習指導要領では,「生命」領域で,理科の見方・考え方である「共通性・多様性の見方」を働かせることについて書かれています。一つの植物だけを観察するだけでなく,様々な植物を観察することで,子どもたちは理科の見方を広げていきます。ただ,教師自身が植物の名前をあまり知らないなどの理由で,教科書に掲載されている植物だけを使って観察をすることが多いのではないかと思います。

 本稿では,第6学年「植物のつくりとはたらき」の植物の水の通り道(道管)を確かめる実践で,ICTも活用した実践を紹介します。

1.指導計画

2.ホウセンカだけで植物の水の通り道について分かったと言える!?

 「根が取り入れた水はどこを通って,植物の体にいきわたるのだろうか」という問題を見いだした後,染色液に浸したホウセンカを使って,根から吸った水の通り道を子どもたちと観察しました。考察では,ホウセンカの根から吸った水は根・茎・葉の道管を通るという結果から,「植物は根→茎→葉の順に水が通る,そして水の通り道がある」という結論を出しました。

 すると,ある児童から「ホウセンカしか実験をしていないのに,『植物は』というまとめをすることに違和感がある。」という意見が出ました。そこで,ホウセンカ以外の植物でも,同じような結果になるのか確かめてみることとなりました。

3.ICTを使って植物検索してから実験

 子どもたちは,自分で校庭やビオトープからとってきた植物を使って実験をすることにしました。ただ,色々な植物を使って実験をするのに,植物の名前が分からないままでは・・・ということで,一人一台端末(Chromebook)に搭載されているGoogleレンズを使って,植物の名前を確かめてから,実験をすることになりました。

 子どもたちは,思い思いに植物を採集し,Googleレンズで植物名を検索し,その植物の根を染色液につけ,吸水させました。その際,植物は極力茎の太いものを選び,しっかり根元から抜いて観察するように事前に指導しました。

Googleレンズで植物の検索

吸水の様子

 グループで採集した植物を一定時間染色液に浸し,ホウセンカの観察と同じように茎や葉(根)の断面がどのようになっているかを観察しました。植物によっては道管の染色の速度や,染色のしやすさが違い(例えばヒメジョオンなどは観察しやすい),どのグループもクリアに観察できたわけではありませんでしたが,葉の表面を見ると隅まで染まっている様子を観察できたり,他のグループのもので観察がしやすいものを見たりして,観察を進めることができました。

 子どもたちは考察では,「アメリカセンダングサは,ホウセンカと同じで水は根→くき→葉の順番で通っていたので,ホウセンカ以外の植物も根から吸った水はくき,葉へ運ばれていく。」「アップルミントも根→くき→葉のじゅんばんで通っている。ホウセンカ以外の植物も根から吸った水はくき→葉へ運ばれていく。」「ヒメジョオンは,ホウセンカと同じようにくきの外側から葉脈を通っているが,ヒメジョオンのくきの部分はくきの外側と真ん中を通っている。」とあり,それぞれの植物においてホウセンカとの共通性を認識することができました。

 Googleレンズは正確に植物を検索できるわけではないので,図鑑等でも補足して調べる必要がありますが,色々な場面で使う価値はありそうです。

  • コメント ( 1 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. 新井友博

    Googleレンズが使える端末で羨ましいです!
    植物の単元は、特に共通多様の見方を働かせやすい気がしています。
    意外とそこらじゅうに生えている植物が、そのまま教材になったりすることに驚きました!

\ 授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈 /
授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈
投稿方法はコチラ