第4学年「電流のはたらき」で使用する教材の工夫【理科専科.com】

1.教材を「ハンディ・ファン(扇風機)」にしてみよう!
第4学年「電流のはたらき」では、市販されている実験キットなどで「モーターカー」を使用することが多いのですが、最近流行している「ハンディ・ファン(扇風機)」にすると、更に身近に感じながら単元を進めることができます。キットで販売はしていませんが、ばら売りのものを集めれば十分作ることができます。

ハンディ・ファン(扇風機)にする利点は、①子どもたちにとって身近な道具であること ②直列つなぎと並列つなぎの違いが分かりやすいことの2点があげられます。では、ハンディ・ファン(扇風機)を使用した単元の流れを紹介します。
2.ハンディ・ファン(扇風機)を教材にした「電流のはたらき」の単元の流れ
(1)豆電球とモーターを比べて「電流」について知る
まずは、3年生の学習で使用した豆電球とプロペラモーターを比べて、電気の使い方の違いを調べます。豆電球は電池の+と-が変わっても点灯しますが、モーターは+と-を変えるとモーターの回る向きが変わります。その違いを比べながら体験してみましょう。モーターの回る向きが変わることを体験することで「電流」という言葉を学ぶことができます。
(2)ハンディ・ファン(扇風機)をつくる
「電流」について学んだら、子どもたちはハンディ・ファン(扇風機)を作る活動をします。その際、電池ボックスは1つしか渡しません。3年生の時に学んだ「モーターとスイッチと電池が1つの輪になってつながっているようにすること」と「電池の向きを、プロペラの風が自分にあたるように設置する」ことを意識して作成するようにしましょう。

出来上がったら、子どもたちは風に当たって涼みます。教科書では、この単元を行う時期が夏頃なものが多いので、子どもたちにとってとっても有用感のある活動になると思います。授業の振り返り等で「この扇風機をみんなはどうしたい?」と聞くと、だいたい「もっと改造したい!」と言います。この「改造」というキーワードを次につなげます。
(3)ハンディファン(扇風機)を直列つなぎ・並列つなぎにつなげて改造する
「改造したい!」とのキーワードをもとに、写真①のように電池の部分に覆いをして回してみます。覆いの中は乾電池2個の直列つなぎでつなげています。

乾電池の部分だけに覆いをすることで、子どもたちがモーターやプロペラ、スイッチを改造することに目を向けず、乾電池だけに着目して「覆いの中で乾電池がどうなっているか?」を考えます。

予想させてみると、たいてい「電池が2つある」と答えますが「3年生の時に使った乾電池(単1)がある」と予想する子もいますので、この後の実験のために教師側で単1の乾電池と電池ボックスを用意してみてもいいでしょう。予想させた後、子どもたちには乾電池2個をどのようにつなげるのか回路図を書かせてから、実際につなげて速く回るか体験させます。
この教材では、写真②のように単3電池が2つ並んでしか設置できないので、並列つなぎにつなげる子どもが多いです。「乾電池2つなのに、なんで先生のみたいに速く回らないんだろう?」と試行錯誤する子どもが多くいます。試行錯誤した中で「直列つなぎ」だとプロペラが速く回ることに気づき、「電池2個使用しても、つなぎ方が違うと電流の流れ方が変わる」ということを実感します。
この後、検流計を使って乾電池のつなぎ方で電気の流れる大きさが変わることを数値で表すとより客観的に理解をすることができます。2つのつなぎ方を理解した後、直列つなぎと並列つなぎのそれぞれの良さについて考えていくと、「直列つなぎは電池2個で強いパワーを出すけど、並列つなぎは2個の電池で1個分のパワーを出すので長持ちするのでは?」と考えます。それぞれのつなぎ方の良さを整理したら、最後に自分だけのオリジナルハンディファンに改造する活動を行います。
(4)自分だけのオリジナルハンディ・ファン(扇風機)をつくる。
直列つなぎと並列つなぎの違いがわかったところで、自分のハンディファン(扇風機)をつくる活動をします。「どんなふうに改造したい?」と問いかけてみると、だいたい「直列つなぎにして強い風に当たりたい!」といいますが、中には「少しでも長く風に当たりたいから並列つなぎにする!」という子もいます。直列つなぎと並列つなぎを学んでから改造をするので、だいたいがつなぎ方を変えるのですが「プロペラを大きくしたい!」「カバーを付けて安全にしたい」などの意見もでるので、そうした意見も尊重して改造させてみましょう。
以前、私がこの授業の流れで行った時、ある子は並列つなぎで単3電池4個をつなげて「超長持ちする扇風機だ!」と喜んで作っていました。
3.教材を「ハンディ・ファン(扇風機)」にするよさ
単元の流れを見ていただき、教材をハンディ・ファン(扇風機)にするよさがわかってもらえるかと思います。キットで購入するより割高なところもありますが、それだけの価値がある教材だと思います。最近では夏場になると、街中で「ハンディ・ファン(扇風機)」を持って歩いている様子を見ます。子どもたちの興味関心も十分に引き出せる教材です。ぜひともお試しください。
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