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本当に「物は形を変えても重さは変わらない」といえる指導の工夫【理科専科.com】

第3学年の「物と重さ」の学習では、物は形が変わっても重さは変わらないことや体積が同じでも重さは違うことがあることを学びます。このうち前者の場合、多くは粘土を用いて実験を行い,結果を基にまとめていきます。その際、確かめる対象が粘土のみにも関わらず、まとめの場面で「物は形が変わっても重さは変わらない」とすべての物にあてはまるような結論にしてよいのでしょうか。世の中には、ありとあらゆる物が存在します。粘土だけではなく、他のものについて同じことが言えてこそ「物は」、という主語が使えるのではないでしょうか。それでは実際に、粘土の実験が終わった後の指導の工夫について考えていきましょう。

まず、粘土での実験が終わった後、粘土の場合は形を変えても重さが変わらなかったことを確認します。その際、

「それでは、粘土以外のすべての物でも、形を変えても重さは変わらないということでいいですね。」

と子どもに聞くと、「いや、そうとは言い切れないかも・・・。」と発言する子どもがいることが多いです。また、「粘土だけしか確かめていないのに決めつけるのはおかしい。」と発言する子どももいることでしょう。そこで、粘土以外で授業中にできる様々な「物」で確かめる活動を設定します。いくつか比べやすいものを紹介します。

事例1「缶」

そのままの状態とつぶした状態の重さを比べます。事前の予想では、「もしかしたら、つぶすことで大きさが小さくなるから軽くなる」「形がギュッとなるから重くなるかもしれない。」と予想する子どももいるでしょう。

事例2「ブロック」

ばらばらのブロックと何かを作った状態のブロックの重さを比べます。ブロックで何かを作った場合、持ったときの手ごたえが変わるため重さが変わるかもしれないと予想する場合もあります。

事例3「新聞紙やおりがみ」

そのままの状態と折りたたんだ状態、丸めた状態、ビリビリに破いた状態など様々な状態で比べることができます。粘土の場合と比較的実験内容は似ていますが、物質の違いによる重さの比較にはふさわしい素材といえるでしょう。「丸めた場合だけ重くなる」など特定の状態では重さが変わると予想する子どももいます。

事例3「スナック菓子」

そのままの状態と細かく砕いた状態で比べます。明らかにかさが違うことから子どもは、重さが変わるのではないかと考える子もいるでしょう。

これらの他にも、針金やペットボトルなど身近な物を使って確かめることができます。このように、たくさんの事例で確かめることで、単元の目標である「物は形を変えても重さは変わらない」ことを捉えられるようにするとよいでしょう。

複数の比べる物を取り扱う際は、すべての例について全員で予想することが大切です。ただ、全員が1つ1つ順番に確かめる必要はありません。予想について話し合った後に調べたい物を決めて、個人やグループを構成して調べ、その結果をタブレットや板書などで共有するなど、それぞれの実験を共有していく活動とすることで仲間と学び合うことのよさを実感することにもつながるでしょう。そして、自分が調べ終えた後は、その場で待つのではなく、他の物のところに行って自由に比べたり、結果について仲間と話したりするなど柔軟な指導の工夫も大切です。

なお、調べる物は、教師が最初から提示するのではなく、子どもと話し合いながら決めていくようにして、自分事の問題解決にすることが大切です。自分たちで決める経験を繰り返すことで、「この場面ではどうだろう」「ということはあの場面でも同じことが言えるのかな」というように、学んだことを基に考えたり、汎用性を高めたりしていくことにつながるでしょう。

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