学校で評価規準を検討しておこう【理科専科.com】

学校で評価規準を検討しておこう
小学校ではR6年度から、新しい教科書が使われています。これまでの教科書とは、各学年で扱う内容に変更はありませんが、単元配列や採択された教科書会社が変更されていることもあるでしょう。特に年度初めは多くの業務を抱えていることもあり、なかなかすべての単元に目を通したり、次の単元の準備をしたりすることにも手が回らないという事情もあるかと思います。しかし3学期制の学校では夏休み前には1学期の成績処理を終える必要があり、3学期制の学校も夏休みを終えるころには成績処理が始まる頃でしょう。ただ理科の学習を進めるのではなく、「目指す姿」を明確にして指導し、評価を積み重ねていくためにも、学年あるいは学校として、評価規準を設定しておくことが大切です。今回はどのように評価規準を設定していくべきかについて考えていきましょう。
心得1 理科として目指す姿を知ろう!
まずは、学習指導要領に記載されている、理科の目標を確認しておきましょう。(1)は、資質・能力のうち、「知識及び技能」について、(2)は、「思考力・判断力・表現力等」について、(3)は、「学びに向かう力、人間性等」について書かれています。(1)は主にその単元の中で習得する力、(2)は主にその学年を通して育成する力、(3)はもっと長い期間をかけて涵養する力について示されており、育成する資質・能力にも育成を目指す期間が異なります。「自然の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を次のとおり育成」とも書かれているように、理科では以前より「問題解決の力」の育成が重視されていることは周知の事実かと思います。
心得2 どのような姿を評価していくのか
理科において育成を目指す力については上述の通りですが、具体的にどのような姿を目指し、どのような規準で評価していくかについては、各学校の責任とされています。そのため、学校や子供たちの実態に応じた指導と評価の検討、改善の中で、どのような姿を「おおむね満足できる」とするのかは、学校に委ねられています。国立教育政策研究所が発行している「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」や、「学習評価の在り方ハンドブック」を参考にしながら、規準を作成していく必要があります。とはいえ、理科として目指す姿が学習指導要領に記載されているように、例えば問題解決の力を見ても、各学年で主に育成を目指す姿が示されています。第3学年では主に「差異点や共通点を基に問題を見いだす力」、第4学年では主に「根拠ある予想や仮説を発想する力」、第5学年では主に「解決の方法を発想する力」、第6学年では主に「より妥当な考えをつくり出す力」です。「主に」とあるように、それだけを目指すわけではありませんが、まずはご自身の担当学年で、これらの問題解決の力から、具体的な姿を検討することが求められます。
心得3 子どもたちに身に付けさせたい具体的な姿を設定しよう!
第3学年を例に考えましょう。第3学年では主に「問題を見いだす力」を育成します。「問題を見いだす」といっても、どのような表現をすれば「おおむね満足」する姿なのか、検討しておく必要があります。第3学年の子どもたちの記述を見てみると、単元によりますが、導入で提示した事象に対して、「関係のない記述」「やってみたいこと」「疑問」「観察・実験により検証可能な問題」と分けられました。学年でこのような実態であることを共有し、学期末までに目指す姿として、疑問レベルでも全員が書けるようにしたいを検討しました。つまり、「関係のない記述」や「やってみたい」は「努力を要する」としました。また、「十分満足する」としては、「検証可能な問題」や「いつでも疑問レベル以上が書ける」としました。問題解決の入り口としての問題の見いだしであるため、「解決ができる(検証可能な)問題」であることが望ましいとは思いますが、(単元にもよりますが)第3学年に求める姿として、実態を基に考えると、どうしても難しさがあります。大切なことは、このような実際の子どもたちの記述を基に、学年で共有をし、目指す姿を設定することだと考えます。目指す姿が設定されると、どの先生もその姿を想定した指導や支援を行うことを考えることができます。具体的な姿がイメージしにくい場合には、各教科書会社が公開している評価規準例を参考にすることも考えられるでしょう。
先生は日々の業務が忙しいですが、教科書が変わったからこそ、今一度、各学年で目指す子どもの具体的な姿を共有し、検討してみてはいかがでしょうか。目指す姿が明確になると、子どもたちへの指導や支援が明確になり、授業力が向上します。
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