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偉人の業績を紹介して、興味を広げる!【理科専科.com】

学習指導要領では、資質・能力の育成について、「知識・技能の習得」「思考力・判断力・表現力の育成」「学びに向かう力・人間性等の涵養」が挙げられています。その中でも、「学びに向かう力・人間性等の涵養」は時間をかけて育成していくものとして「涵養」と表現されています。どのように「涵養」していくとよいのか、いろいろな方法はありますが、ここでは、偉人の業績を紹介する時間を取ることで興味を広げ、次の学習の意欲を高められるようにしていく方法を紹介します。

1 リチャードソンの夢

1人目は、ルイス・フライ・リチャードソン(1881―1953 イギリス)。リチャードソンは、数値シミュレーションによる天気の予報実験を世界で初めて行った人物です。コンピュータの実用化以前の1920年頃、6時間予報を1か月以上かけて手計算で行いました。しかし、数値計算はうまくいかず失敗してしまう。しかし、リチャードソンは、「6万4千人が大きなホールに集まり一人の指揮者の元で整然と計算を行えば、実際の時間の進行と同程度の速さで予測計算を実行できる」と提案しました。数値予報の将来を信じたこの言葉は、「リチャードソンの夢」と呼ばれています。(気象庁ホームページから引用)

天気の変化の学習の後にこの逸話を紹介し、さらに、今の天気予報はアンサンブル予報と言って誤差を減らすためにコンピュータを使って膨大な量の観測データをもとに計算をしています。観測データを得るためにも気象衛星、アメダスによる観測、海上のデータ、ラジオゾンデの活用といった様々な方法を使っているのです。

 天気予報は、外れてしまうことがあるが、これらのことを知ると天気予報がどれだけ難しいことをしているのか分かり、自分たちが学習してきたことにもさらに価値を見いだすことができるようになります。そして、これからの学習にも同じような歴史がつまっているかもしれないという期待をもつことで意欲を高めることにつなげられます。

2 エルステッドの発見!

 2人目は、ハンス・クリスティアン・エルステッド(1777―1851 デンマーク)。

 エルステッドは、自宅で科学実験をしていました。電流によって導線が発熱する実験の他に、磁力に関する実験をしようと方位磁針を準備していました。電流の実験をしているときに、エルステッドは方位磁針の針が動いていることに気が付く。電流と磁力は別物と考えられていた時代、この現象を説明するためにいろいろな実験に取り組みました。しかし、結局説明することはできませんでした。その発見を知ったアンペールが実験を重ねて説明することに成功したのです。

 今まで誰も発見していなかった現象を見たエルステッドは、どれほど驚いたことだろう。

 この逸話を伝え、教師の演示実験でもよいのでその現象を再現してみると、電磁石の学習の理解がさらに深まり、自分ももしかしたら新しい発見ができるかもしれない、という意欲を高めることができます。

3 見えないと始まらない、見ようとしないと始まらない

 3人目は、ガリレオ・ガリレイ。シャンデリアが揺れる様子を観察して振り子の等時性に気付いたという逸話が有名である。さらに、「科学」についての明言を数多く残しています。

 「見えないと始まらない、見ようとしないと始まらない」この言葉は、自然を「観察」することがどれだけ大切か教えてくれています。見えてくると分かってくる。しかし、見えてくる前に「見ようとする」ことが大切で、それは今の「学びに向かう力・人間性等」につながると考えられます。実験の技能を高め、考察の書き方を知り、問題解決ができるようになっても「見ようとしない」と始まらない。形だけの問題解決になってしまう。形を知り、いろいろなことができるようになることは大切だが、その前の「見ようとする心」を育てていくためにはこの言葉が響くのではないでしょうか。

 また、「自然は数学という言語で書かれている」という言葉も残しています。これは少し難しいかもしれませんが、6年生のてこの学習と深くつながります。振り子の周期も計算式で表すことができますが、小学生には難しい。てこの学習は力の釣り合いを数式で表現します。力点を固定して作用点を動かした場合は比例しますし、作用点を固定して力点を動かした場合は反比例になります。目に見えない「力」を「式化」することで見えるようにする。そのすごさを実感できれば、ガリレオの言葉の意味が分かり、中学校以降の理科にも繋がっていきます。理科は式がたくさん出てくるようになる中学校から子どもたちが離れていく傾向があります。式にすることがどれだけすごいことなのか、小学生のときから関心を高めることができる言葉です。

 このように、小学校理科とつながりの深い偉人を活用することで学びに向かう力・人間性等の涵養につながる可能性があります。単元のまとめとして振り返りを書いたり話し合ったりする場合はその前に紹介したり、朝の時間を使って説明したりすることが考えられます。

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