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小3理科の授業開き 〜ペットボトルで「理科の学び方」を体感する~【理科専科.com】

 小学3年生にとって、理科は初めて出会う教科です。授業が始まる前から「理科をがんばりたい!」と目標に書く子もいますが、実際にはどんなことを学ぶのかはあまり分かっていない様子です。そこで、最初の授業では「理科ではどんな風に学んでいくのか」を、ペットボトル1本を使った簡単な活動を通して体験させることにしました。これは、理科の学習の流れ(事象との出会い→予想→実験→結果→考察→まとめ)を子どもたち自身の感覚で理解してもらうための導入です。

● Step 1:生活科との違いからスタート

 まずは、生活科で育てたアサガオや野菜の話を出しながら、「見たり育てたりしたことがあるよね」と思い出させました。その後、教科書の目次を一緒に開き、「どんなことを学ぶんだろう?」と声をかけます。「磁石、ゴム、生き物、音、重さ、電気……」と答える中で、「目に見えるもの」「目に見えないもの」が混ざっていることを確認。理科では、「見えないこと」も考えていくんだよ、という話を加えると、子どもたちも興味を示していました。

● Step 2:ペットボトル1本で“理科の流れ”を体感する

 次に、水の入ったペットボトルを用意して、こう問いかけました。「このペットボトルに1つだけ穴を空けたら、水は出るかな?」(水が出てもいいように、ペットボトルのバットを敷きました。)選択肢は、「水が出る」「ちょっと出る」「出ない」の3つ。それぞれの経験に基づいて考え、答えが分かれました。

 実際に穴を空けてみると、水は出ません。

 「やった〜!当たった〜!」と喜ぶ子もいますが、ここで終わりではありません。

● Step 3:「どうしたら水が出るのか?」を考える

 ここからが“理科の本番”です。「じゃあ、どうしたら水が出るかな?」と聞くと、いろいろなアイデアが出てきます。

  • キャップを開ける
  • もう1つ穴を空ける
  • ペットボトルを押す
  • ペットボトルを切る
  • 揺らす  など

 この時、どの方法が一番手軽で、今すぐに試せそう か?を子どもたちに考えさせることで、「方法を選ぶ力」も育てます。このとき、いきなり「ペットボトルを切る」をやってしまうと、もう1本ペットボトルがない限り、他の方法がこの後に試せないことを児童と共有しました。こうすることで、どの方法が適切なのかを考える練習にもなりますね。

● Step 4:一つひとつ試して、結果を見る

 まず「揺らす(バットにペットボトルを敷いて横に揺らす)」では、水は出ません。次に「押してみる」と、押したときだけ一時的に水が出ます。「キャップを開ける」と、今度は水が止まらずに出続けます。

 2つ目の穴を空ける場面。この穴を空けるという方法には、複数あることを次の選択肢を与えて、気付かせました。「穴の上に空ける」と「穴の下に空ける」。「穴を空ける」だけでは、子どもたち一人一人の頭の中にあるイメージでは異なるため、揃える必要があります。これは、どの学習でも大切なことですね。上に空けるか、下に空けるかは、多数決で決めました。方法が決まったところで、「水は出るのか、出ないのか」予想を立てさせました。

 そのあとに、「上の穴だけ出る」「下の穴だけ出る」「2つの穴から出る」の3択で尋ねました。これも「水が出る」だけでは、どう出るのか子どもたちのイメージは異なるので、これから学習の中で方法を考えさせる上でも、分けて聞くことも大切ですね。

 「上の穴からは出ず、下の穴からだけ出続ける」様子を見た子どもたちからは「おぉ〜!」と声があがりました。ペットボトルを切るについては、子どもたちに分かりきったことなのでやりませんでした。(水浸しになっても困るので・・・)

● Step 5:「理科の学び方」を板書で整理する

 活動のあと、黒板に学びの流れを図で整理しました。

  • 事象との出会い(穴を空けると水は出る?)
  • 予想
  • 実験・観察
  • 結果の確認
  • 考察(なぜそうなった?)
  • 新たな問題(他の方法なら?)

 「今、1本のペットボトルを見て、穴を空けると水が出るのか?という問題と出会ったね」「次に予想を立てて、実際に実験してみて、結果を見たね」「すると、次にどうしたら水が出るかっていう新たな問題に出会えたね」子どもたちは「さっき自分たちがやったことだ!」と実感をもって振り返っていました。

● Step 6:「なぜ水が出たのか?」という次の問いへ

 この活動を通して、子どもから「先生?なんで水が出たの?」と聞いてきました。それを聞いた他の子どもたちも「知りたい!」と口々に言います。せっかくなので、水が出ない場合と出る場合とで、結果をまとめ、方法を比較してみました。

 結果を比較させることで、知っていそうな子から「空気が入ってきたから水が出たんじゃない?」という発言が出てきました。ここがポイントです。こちらから説明しなくても、子どもたちは体験をもとに「空気の通り道」という理科的な見方を獲得していくのです。

 ただ、「押す」に関しては、空気の通り道という言葉では説明できないので、どうやら何かの力で押されると水が出ることを伝えました(4年生の「空気と水」の伏線にもなりますね)。

 理科の授業は、子どもたちが自分の言葉で問いを立てていく過程そのものが学びです。今回の活動を通して、理科で大切にしたい「考える」「比べる」「予想する」力の土台を作ることができました。

● おわりに

 理科の授業は、「説明」より「体験」と「問い」です。今回紹介したペットボトル1本の活動は、準備も簡単で、理科が初めての子どもたちにも「理科って面白い!」という気持ちを育てることができます。これからも、自然との出会いを通して「どうして?」と感じ、自分たちで確かめたくなる理科をめざしていきます。

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