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“遊び” から入る理科授業 ~第6学年「てこの規則性」~【理科専科.com】

 

 6年生の「てこの規則性」の学習では、「力を加える位置や力の大きさを変えると、てこを傾ける働きが変わり、てこがつり合うときにはそれらの間に規則性がある」ことや、「身の回りには、てこの規則性を利用した道具がある」ことを学びます。導入では、例えば棒とおもりを用意し、「どうしたら小さな力で重いものを楽に持ち上げることができるだろう」という問題を見いだしたり、バール(釘抜き)を使ってみて、「なぜ小さな力で簡単に釘が抜けたのだろう」「どのような仕組みなのだろう」という問題を見いだしたりして、てこの学習が始まっていく場合が多いのではないでしょうか。実際に手ごたえを感じることができるような活動を取り入れることで、子どもたちの「すごい!」「おもしろい!」「どのような仕組みになっているのだろう?」という気持ちが高まりますよね。

 とは言え、棒を使って何か重いものを持ち上げようとしたり、バールで釘を抜いたりする機会は実際にはあまりないような気がします。そこで、子どもたちにとって、もっと身近で、たくさん遊び、楽しみながら学習をスタートさせることができるような、てこの学習の導入を紹介したいと思います。

【ミニバスケットボール大会】

 「今日はみんなでバスケをしよう!」と言うと、子どもたちは「え、本当に!」「今日って体育だっけ?」と目を輝かせて聞いてきます。体育館に行くのかと思いきや、図工室に連れて行くと(机と椅子があり、広く使える場所があればどこでもよいです)、子どもたちから「え、先生、バスケは?」と聞かれるのですが、図工室の扉を開けてミニバスケットボールとミニゴール、謎の発射台が見えると、子どもたちからは「先生、そういうことね!」という反応が返ってくるはずです。実際に使った道具はこちらです。

 

 

 このセットを見ただけで、多くの子どもたちがこれから始まる楽しいゲームの内容をイメージすることができると思います。この記事を読んでくださっている皆さんも、定規の下にペンや筆箱を置いて消しごむを跳ばす遊び、一度はやったことがあるのではないでしょうか。

 ここで行うバスケットボール大会では、発射台にボールを設置し(作用点)、狙いを定め、棒の端を自分の手で押して(力点)ゴールにボールを入れて得点を競います。棒とボールを入れるカップの裏面にマジックテープを貼り、ボールの位置を自由に変えることができるようにしたり、棒をのせている三角形の台(支点)の位置も自分で調節できるようにしたりすると、子どもたちは遊びながらゴールに入りやすいポジションを探すようになります。

 ゲームの後に気付いたことを共有し、「手ごたえがある方がよく跳ぶ」「手ごたえがないときはボールが全然跳ばない」「しかし、この“手ごたえ”は人によって感じ方が違う」ということを全体で確認すると、「この“手ごたえ”を数値化することができたらよい」→「実験用てこが使える」というように学習が繋がっていきます。

 

 

【遊ぶときのポイント】

木の棒を上から力強く叩いてしまうと、棒を押すときの手ごたえを感じることができません。棒の上に手を添えた状態で狙いを定め、棒を押すイメージでボールを跳ばすと、手ごたえを感じやすくなります。

 

 

 バスケットボール大会で盛り上がった後、「もしかして、この方法でいつも使っているバスケットボールを体育館のバスケットゴールに入れられるのかな?」「発射台を大きくすればいけると思う!」「一番跳ぶ、ベストポジションが分かればゴールまで届くんじゃないかな!」という話になりました。これを実現させるために、「まずはベストポジションをはっきりさせよう」「人によって感じ方が違った“手ごたえ”をちゃんと比べられるようにしたい」「なにか“手ごたえ”をはかれるものがないかな」という子どもたちの声を聞き、「それならこういう物があるよ!」と言って“実験用てこ”を登場させるとよいのではないでしょうか。

 この後の学習は、実験用てこを使い、「支点から作用点までの距離を変えると、力点で押す重さ(手ごたえ)はどのように変わるのだろうか」「支点から力点までの距離を変えると、力点で押す重さ(手ごたえ)はどのように変わるのだろうか」ということを調べていき、分かったことを活用して、最後は実際に体育館のゴールにバスケットボールを跳ばしてみる、ということをやってみるとおもしろいです。ちなみに、「作用点から支点までの距離が遠く、支点から力点までの距離が近い」と、ボールは高く、遠くに跳びます。遊びから入って深めていく理科の学習、先生も一緒に楽しめるとよいですね!

  • コメント ( 2 )

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  1. 藤原秀一

    おもしろいです!やってみたいです!早速設計図考えてホホームセンターをイメージしました。個人でつくるには時間の制約もあるので、職員に広げたいな、と思いました。

  2. 酒井優里亜

    コメントありがとうございます!
    遊びに夢中になりすぎると、肝心の「手ごたえ」が置き去りになってしまうので、ルールの確認をしてから取り組んだり、一度集めて手ごたえの違いを共有してからもう一度遊んでみたりするとよいと思います。
    ぜひ、みんなで楽しんでください!

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