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空気のあたたまり方を数値化して捉える実験方法 ~4年「物のあたたまり方」~【理科専科.com】

 4年生の「物のあたたまり方」の学習では、金属、水及び空気を熱した時の熱伝わり方と温度変化の関係について学習をします。 金属のあたたまり方を確かめる際には、金属板や金属の棒にペーストタイプの示温インクを使用する事で、熱したところから順に色が変化したという結果をもとに、順にあたたまっていくことを理解することができます。

 同様に、水のあたたまり方を確かめる際にも、示温インクをビーカーや試験管に入れて熱することで、示温インクが熱された部分から上に上がっていき、やがて上から順に色が変化していく様子を観察することができます。この結果を通して水は熱せられた部分が移動して、やがて全体が温まることを理解することができます。

 空気のあたたまり方を確かめる際には、「線香のけむりの行方を観察する」「教室内の温度を測定する」という2つの方法が例示されています。けむりの動きを観察することによって、熱せられた空気は水と同様に移動していることを捉え、さらに教室内の温度変化を測定することで、温められた空気が上にたまり、上から徐々に温められることを理解することができます。今回は、子どもたちの予想や仮説を生かしてより科学的な問題解決に繋げることができる実験方法を紹介します。

【室内の暖房をつけて実験する方法】

 まず、教科書などで例示されている「室温を測る」実験方法について考えます。室内の暖房機能を使って部屋全体をあたため、教室の室温の変化を記録して確かめる方法です。

 この実験方法の利点は、空間的な広がりが大きい部屋で実験をすることで、暖かい空気が上から溜まっていくことがはっきりと確かめることができることです。また、普段から使っている暖房設備を利用することで、学習したことを身の回りの生活と照らし合わせて考えることができるでしょう。

 一方、締め切った条件で実験ができる部屋をたくさん用意することは難しいです。実験結果が出るのに時間かかったり、何度も繰り返し実験することができなかったりするので、グループや個人での実験を行えないことや熱源の位置(エアコンは教室の上についていること多い)を調整することができないことは不安な点と言えるでしょう。このことをふまえて、MESHブロックを用いた実験方法を紹介します。

【MESHブロックを用いた実験】

 まず私が実践で準備したことを紹介します。まずは、大きめのアクリル水槽(60cm×27.5cm×38cm)です。小さな空間のものでは、上下の差が見えにくく子どもの理解に繋がりにくいです。次にMESHブロックです。8グループで40個程の温度センサーを用意しました。校内のものでは足りない場合は、SONYからレンタルすることもできます。今回はMESHアプリとスプレッドシートを連結させて、温度センサーの記録を自動的にGoogleスプレッドシートに書き出すことができるようにしました。その際、「IFTTT」を使って、GoogleスプレッドシートとMESHブロックを接続する必要があります。学校のICT支援員さんやMESHの技術担当者の方に接続をサポートしていただきました。MESHアプリのみで温度センサーを使うとiPadのファイルに出力されますが、結果が読み取りづらいので、Googleスプレッドシートに書き出すことをおすすめします。

〈実際の実験の様子〉*リアルタイムで温度変化を記録しています

 実験では、MESHアプリとブロックの接続を済ませた後、個人やグループの予想や仮説に基づいてMESHブロックや熱源の位置を考えました。熱源をろうそくにして、上記のアクリル水槽で実験を行うと約5~7分程度で水槽内全体を温めることができます。一度結果が得られたグループも熱源の高さを変えたり、再度同じ条件で実験を行ったりして、繰り返し確かめていました。

 このような方法で検証することで、「熱源をどの高さにしても上から順番に温まったよ。」「ろうそく(熱源)の近くにブロックを置いても、まず上のブロックから温度が上がったよ。」のように、どのグループでも科学的に空気が温まる様子を確かめることができました。記録が自動でスプレッドシートに書き出されるようになっているので、考察を考えたり、話し合ったりする時間も十分にとることができました。

 MESHブロック、アクリル水槽の準備やデータの処理など、実践において配慮すべき点もあります。しかし、数値化することによって目には見えないものを質的・実体的に捉えたり、量的・関係的にエネルギーの大きさについて考えたりすることによって、科学的な問題解決になることを子どもたちとともに確認しながら授業を進めていきましょう。

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