第5学年「天気の変化」単元展開例 ~雲の観察から天気の変化に気付かせていく工夫~【理科専科.com】

1.「天気の変化」で身に付けたいこと
まず、学習指導要領理科編の単元の目標を確認してみましょう。
天気の変化の仕方について,雲の様子を観測したり,映像などの気象情報を活用したりする中で,雲の量や動きに着目して,それらと天気の変化とを関係付けて調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 天気の変化は,雲の量や動きと関係があること。
(イ) 天気の変化は,映像などの気象情報を用いて予想できること。
イ 天気の変化の仕方について追究する中で,天気の変化の仕方と雲の量や動きとの関係についての予想や仮説を基に,解決の方法を発想し,表現すること。
イについては、第5学年で身に付ける思考力(問題解決の力)を示しています。アについて、説明をしていくと、「雲の量や動きによって、天気は晴れとか雨とか変化します」ということと、「映像などの気象情報を分析していくと、予想することができます」ということを理解ししましょうということ意味しています。
ここで大切なのは、目標にも示してある「雲の様子を観測したり,映像などの気象情報を活用したりする中で,雲の量や動きに着目して」の部分です。つまり、①雲の様子を観測して、雲の量や動きに着目する、②映像などの気象情報を活用して、雲の量や動きに着目する、ということが大切なのです。「雲の様子を観察すること」と「映像などの気象情報を活用すること」を行って、天気の変化の仕方について学んでいきましょう。
2.見方・考え方について
授業を進める前に、この学習で働かせたい見方・考え方について知っておきましょう。「天気の変化」の学習はB 生命・地球 の地球を柱とする領域の学習ですので、主に働かせたい見方・考え方は「時間的・空間的の視点で捉えること」と「条件制御」となります。見方で大切なこととしては、時間的・空間的な視点で捉えることを徐々に広げていくということです。
はじめに「雲の様子」について観察をします。このときのポイントは最初に観察するのは「目で見える範囲の空間」と「10~20分程度の時間」ということです。観察をしていると、雲の様子は刻々と変化しているため、子どもは次第に「もっと広い視野で、もっと長い時間、雲を観察したら変化が見えてくるのではないか」と考えることができるでしょう。
そこで、ずっと自分たちで観察するには限界があるため、教室などからカメラの定点撮影を行い、長い時間の雲の様子の変化について観察します。そして、雲の量や動きによって天気が変化することに気付き、さらに映像などの気象情報から広い視野で長い時間、雲を観察して天気の変化の仕方について、時間的・空間的な見方を働かせて、学んでいくことができます。
3.単元展開例
(1)雲の様子を観測して、雲の量や動きに着目する
教室から外に出て、雲の観察をしてみましょう。写真のように「層積雲」と呼ばれる雲などが観察しやすいと思います。10分ほど観察カードに絵を書かせてみましょう。すると、子どもは「雲が動いて書けなくなった。」、「雲の形や量が変化してしまった。」など気付くかと思います。そこで、さらに観察を続けたら雲の様子はどんどんと変化していくのか追究していきたいという思いがでてくるでしょう。そこで、デジタルカメラやタブレットを用いて、教室などから定点観測をしていくことにします。ここでは、「撮影する方角は変えないこと」は「時間は何分おきに変えて撮影する」など、「条件を制御する」考え方を働かせていくことが大切となってきます。

定点観測では、1~5分ごとに写真を撮っていくとよいと思います。短いスパンで写真を撮っていくことで、写真送りをすると雲の動きがよく分かります。春の頃には西から東へ雲が流れていく様子が見えます。


最初撮影して(左)しばらくして撮影すると(右)
このときに昼間の間に雲の量が多くなっていき、天気が曇りとなるような日があると次の学習に展開できます。

雲の量や動きが変化していく様子について、まとめていく際に、「天気が晴れからくもりとなっている。」と子どもから気付くとよいですが、そのような意見が出なかった場合は、教師から天気について考えさせるような発問をしてもよいでしょう。
雲の量や動きと天気の変化の仕方についての関係性についての気付きから、「さらに広い視野で、もっと長い時間、雲を観察したら天気の変化が見えてくるのではないか」と考えるでしょう。そこで、映像などの気象情報に目を向けて、学習を進めていくようにしましょう。
(2)映像などの気象情報を活用して、雲の量や動きに着目する
子どもたちはニュースの天気予報などで宇宙から見た雲画像のことは知っていると思います。その気象情報を集めて天気の変化について調べていく活動をしていきましょう。


今後の雲画像と天気について調べていってもよいですが、雨の天気になる日は入れるようにします。もしも、今後の天気で雨になる日がないようでしたら4月や5月の過去の天気について調べてもよいです。
雲画像とともにアメダスや雨雲レーダーなどについても学び、気象情報を集めていくとよいでしょう。その2つの気象情報について、並べて時間ごとに進めて見ていくことで、春の頃には日本列島の西から東に向かって雲が動いていき、天気が変化してく様子について理解を深めていくことができます。
最後に学習した日の雲画像から、自分たちが住んでいる地域の明日の天気について予想する学習をしていくようにしましょう。
この記事へのコメントはありません。