問題づくりの授業スタート 3年「身の回りの生物(植物)」【理科専科.com】

3年生の主として身に付ける問題解決の力として、問題を見いだす力が挙げられています。活動や観察から児童一人一人が問題を見いだすことを目標としていますが、教員主導で問題が作られていたり、教科書を見て「今日はこれをやろう」と課題を設定したりする学習のスタートがよく見られます。問題づくりの学習の難しさの1つとして、指導する教員がこれまで問題づくりの授業を経験していないことが多く、授業展開が不明瞭になっている点が考えられます。そこで、問題づくりの授業展開を下図の用にパターン化し、指導するのはどうでしょうか。

以下、3年生「身の回りの生物」(植物)の学習で具体的に説明します。
①事象提示
前単元「身の回りの生物」の学習で学校にいる動物や植物などを探す活動をしています。すでに身の回りの生き物について着目しているため、今回は「ホウセンカ」と「ダイズ」の2種類の花の写真を提示し児童に興味をもたせます。その後それらの種を見せ、その大きさの違いなどに興味をもたせます。
②活動・観察
児童一人に対してそれぞれの植物の種子をチャック付きの袋に入れて配布し、観察をさせます。観察する際には、五感を大切にしてほしいので、袋から出し、虫眼鏡を使い観察させました。

③事象の比較
どの単元の問題づくりでも比較することを大切にしています。児童には2つのもの(事象)を比較させて「同じところ」「ちがうところ」をノート(ワークシート)に記載させます。本単元では「ホウセンカ」と「ダイズ」の種子の同じところ(形、かたさ など)ちがうところ(色、大きさ など)を観察しながら考えさせます。

④比較の共有
それぞれの児童が比較した内容を全体で共有します。この共有から問題につなげます。特にちがうところ(差異点)が問題につながることが多いため、こちらの意図的な指名や板書計画が必要だと考えています。今回は特に色・形・大きさが種子によって異なることを全体で共有しておきます。これにより、児童は「植物によって色・形・大きさなど見た目が異なるのだろう」と考えます。
⑤問題づくり
比較したことを基に問題を見いださせます。特にちがうところ(差異点)から問題につながる内容が多いので、板書等で目立つようにしておきます。また、必要に応じて問題の型を提示して学習のハードルを下げていきます。
理科の学習をはじめて2単元目の3年生にほとんどいきなり「問題を書いてみよう。」というのはかなり難易度が高いと考えています。そこで、補助的な活動として、「この後種から芽がでます。どんな形の芽になると思いますか。」と投げかけ、ノート(ワークシート)にそれぞれの芽を書かせます。すると多くの児童はホウセンカとダイズの芽を同じように書きます。「芽は同じ見た目をしているのかな?」と投げかけると、「そんなことないよ!」「いや、ほとんど同じはずだよ!」など、意見が分かれます。ここまで考えを共有したところで、問題を書かせます。

⑥問題の集約
指導方針によって、学級の問題を作らない場合もあると思います。今回は、今後の学習の方向性を示す意味合いを込めて、問題を集約し、学級の問題づくりを行います。二学期後半ごろに児童が問題づくりの流れに慣れている場合、児童に学級の問題を考えさせます。本単元では、ほとんどはじめての問題づくりです。そのため、問題としては言葉が不足している場合もあります。児童に発表させ、教員が言葉を補い、「植物は種からどのように育つのだろうか」などの問題につながると良いと考えています。

問題づくりの学習は児童が主体的に学習に取り組むために必要な時間です。しかし、一時間だけで問題を見出す力を育てようとすると難しいです。年間を通して問題を見出すことができる児童を育てることができるような指導が必要だと考えます。
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