1. HOME
  2. ブログ
  3. 小学校5年
  4. 「気体が溶ける」を深く理解する【理科専科.com】

「気体が溶ける」を深く理解する【理科専科.com】

 6年生「水溶液の性質」では、溶けている物に着目して、それらによる水溶液の性質や働きの違いを多面的に調べる活動を通して「水溶液には、気体が溶けているものがあること」を理解できるようにします。しかし、「気体が溶ける」ことについて浅い理解のままになっていることが多い。今回は、「気体が溶ける」ことについて深く理解できる指導法を紹介します。

1 「食塩水」と「みそ汁」

 まず大切にしたい考え方として、「食塩水」のように「溶ける」のか「みそ汁」のように「混ざる」のかについてです。子どもたちは5年生までの学習で、水溶液とは、水に何かが溶けて透明で時間が経っても溶かしたものが下にたまらないことを理解している状況。その既習事項を確認するために、子どもたちの前に食塩を入れた水とみそを入れた水を用意します。それをかき混ぜて溶かし、時間をおいて観察します。すると、食塩水は透明のままでみそは下にたまる様子が見られます。これが食塩とみその溶け方の違いです。水に同じ「固体」を入れたても、このような違いが出わけです。では、気体では?というのが、今回の学習内容になります。

個の食塩水とみそ汁を観察すると、「炭酸水の泡は目に見えているから、みそと同じなのでは?」「それなら炭酸水は水溶液と言ってはいけないのではないかな。」と考える子どもたちも出てきます。そこで、「二酸化炭素は水に溶けるのだろうか」といった問題を設定して問題解決をしていく。

2 時間が経っても性質が変わらない

二酸化炭素は水に溶けるのか調べるためには、石灰水を活用することが考えられます。それと同時に水溶液の性質に着目できるように、水溶液には酸性、中性、アルカリ性に分類することができ、炭酸水は酸性を示すことを実験して確かめます。基本的にはリトマス紙でよいが、BTB溶液やPH試験紙といった物を使うと、結果がよりはっきり出ます。炭酸水は酸性という性質が時間が経っても維持されているかどうかを調べることで問題を解決できることを確認します。

みそ汁のみそは、時間がたったら下にたまる。炭酸水も同様に時間が経ったら「炭酸が抜ける」「シュワシュワ感がなくなっておいしくなくなる」という経験をしている子どもは多いです。その生活経験を基に予想すると、時間が経ったら炭酸水ではなくなると考える子どもは多いです。

炭酸が抜ける要因として子どもたちは、時間、温度、振る回数といったことを考えることが想定できます。その予想を基に「3日間蓋をして冷蔵庫で保管」「3日間蓋をしないで常温で保管」「一度蓋を開けてから一週間冷蔵庫で保管」「蓋をして100回振ってからふたを開けて3日間保管」といったような方法を考えて、それぞれで実験しました。

 

3 「気体が溶ける」ことを深く理解する姿

2,3日後、もしくは1週間後、保管しておいた炭酸水の性質を石灰水やリトマス紙やBTB溶液を使って調べていきます。すると、石灰水が白くにごり、リトマス紙の反応は判断が難しいかもしれないがBTB溶液は黄色になる。それらの結果から炭酸水は時間が経っても炭酸水のままということがいえます。

これらの結果から、二酸化炭素はみそ汁の溶け方とは違い、食塩水のような溶け方をしていることが考えられ、二酸化炭素は水に溶けると言えます。さらに、ふたをしてもしなくても、常温でも冷やしていても(冷蔵庫は約4℃)関係ないということが分かります。

では、なぜシュワシュワと泡が出ているのか。炭酸が抜けるとシュワシュワ感がなくなるのはなぜか。といった疑問が子どもたちに残ると考えられます。それは、溶け残りがある食塩水を見せて、食塩水も一定の水の量に溶ける限界があるように二酸化炭素も溶ける限界があるということに気付けるようにしていきます。その溶け残りが気体なので下にたまるのではなく上に行っているということです。

さらに、中学校以上で学習することになりますが、気体は温度が低いと水に溶ける量が増え、圧力をかけることで溶かすことができることを利用して、市販されている炭酸水が作られていることを紹介することで関心を高めることもできます。

 このような学習をしていくことで「気体が溶ける」ということを深く理解することにつなげられます。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

\ 授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈 /
授業実践を紹介しませんか?Amazonギフト5000円進呈
投稿方法はコチラ